絵が上手いとはいったいなにをさして言うのでしょうか。もちろん完成した絵の上手さを比較することで
上手い下手の判別をするのですが、絵を完成させるまでの課程についてはどうなのでしょう。少し論点
からはずれますが、一枚の絵を描くのに1週間かけた。と聞くとどのように感じるでしょうか。描くのが
遅いやつだ、と思うでしょうか、それともよくそんなに描き込めるな、と思うでしょうか。(当然だと思う人は
別として。)僕なんかは一枚の絵(一人のキャラクターの全身像)を昔は20分ぐらいで書き上げました。
描くのが早いと当時は思っていましたが、要するにざっと描いてしまうと後はどこをどう手を加えればいいのか
わからなかったためそこで完成にしてしまったわけです。現在であればデッサンの狂いを直すために2時間、
その後の書き込みに1時間はかかります。(絵の描き方は、デッサンや写生の場合まず形を取り、それから
細部を埋めていくということになります。この形を取るという作業に絵の上手さが反映されるのです。絵が
下手な人は何遍描き直しても目で見る物と描いた物がずれていてそこから先に進めない。絵の上手い人
ならそこから先に進めるわけですが)

しかし本当にそれだけで決まるのでしょうか。自分の過去の絵と現在の絵を見比べてみてふと考えるのですが、
昔の絵は変だなとは思っても、絵を描く技術そのものは昔と比べとそれほど向上したとは思えません。つまり、
現在の絵が昔より上手く見えるとしたらそれはこうして描けば良いという知識が増えたと言うことです。つまり、
完璧な知識さえあれば技術は皆無でもすばらしい傑作を書き上げることができると言うことではないでしょうか。
実際に紙に書く場合は消しゴムがあっても無限に書き続けることはできませんが、CGであれば完璧な記憶力を
持っていればクリスチャン・ラッセン(CGの人ですよね。)の絵だって完璧に再現できるわけです。そもそも絵を描く
技術という物もいったい何なのでしょう。思った通りの線を正確に描くことでしょうか。

テレビでやっていた直感視映像能力(でしたっけ?見た物を写真のように記憶する能力のこと。)の持ち主は、
絵の練習なんてあまりしていない(若いから)はずなのに実に見事な絵を描きます。彼なんかは完璧な知識があり、
その通りに手を動かすことによって完璧な絵を描いているわけです。普通の人間にはそれができない。要するに
人間がいかに曖昧な記憶力しか持っていないと言うことなのでしょうね。僕は自分がイメージした絵をイメージ通りに
かけたことなんてただの一回もありません。

しかし、本当に絵の上手い人はきっと自分のイマジネーションを絵として表現することができるのでしょう。
その域まで達した人に向かって上手いの下手のと論じることは全く無意味であり、好き嫌いの話にしかならないの
でしょうね。

 

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