10.

だが、死に近いのは奴のほうだ。
俺がもっと近づけてみせる。
俺は刀を振るい、頭をたたき割った。
光にふれる面積が広がり、奴の崩壊はより早まる。
だがこれ以上は無駄だ。
あとは輪音にかかっている。
しかし、輪音が既に限界を超えているのは明らかだった。
口から目から、血が流れている。
限界を超えて力を振り絞ったため、脳が悲鳴を上げている。
「輪音……」
どうしてこういうときに助ける力が俺にはないのか。
少しでも、何らかの足しになるならばと、俺は輪音を後ろから
そっと抱きしめた。
「あ…ああ…かは……あああ…」
腕の血管が破裂する。
輪音は極めて死に近いところにいた。
それでも……。
時波聡子は完全に気化し、消滅した。
「よくやった、輪音!」
ぐらり……輪音が崩れる。
「輪音!」
輪音の命もまた、風前の灯火だった。
……


輪音は命を取り留めた。今、玖能傘下の病院の集中治療室に入っている。
それでも予断を許さぬ状況だ。
紫乃に頼み、付きっきりで警護してもらう。
俺と零未は残る一人を追う。学校のほうには二人は病気で休養中としておいた。
だが手が足りなくなった。
玖能の家に援軍を要請する。
即座に応えがあった。玖能からは三人の増援が向かっているという。
時波との決戦に送り込まれてくるわけだから玖能のトップ十から三人だろう。

五人体制ともなればかなり話が変わってくるはずだ。
……


妙に柔らかく、心地よい感じがする……。
「なんだ…」
むに…
「あ……」
女の声。
「なに!?」
あわてて飛び起きる。
「し、紫焔…」
「お兄さま…おはようございます」
玖能の屋敷にいるはずの紫焔がなぜここにいる。
しかもなぜベッドの中にいる。
「まさか、おまえが来たのか」
「はい……ああ、早くお会いしたかった、お兄さま…!」
紫焔は抱きついてきた。
「あ、ああよしよし…」
抱きとめる。さっきの柔らかい感触は紫焔の胸か。
この俺に気づかれずにベッドの中に進入するとはさすが玖能の当主。
まあ敵意が無いだけか…。
「しかしなぜ玖能の当主が直々に」
「時波と言えば玖能の怨敵。当主自らが乗り出しても何の不都合も
無いでしょう」
「そ、それもそうだが、危険だぞ」
「だったらなおさら、一族の者を危険にさらすわけにはいかないでしょう。
お兄さまにもしものことがあったら紫焔は生きていけません」
「はあ……」
まあ確かに、紫焔以外の誰が奴らとまともに戦えるのかという疑問はある。
今まで戦ってきた怪物共でも紫焔なら互角以上に戦えただろう。
なにせ紫焔は、玖能千年で最強の怪物といわれる当主なのだから。
「残り二人は………」
「何をしているのだ、日沖」
「おはようございます」
「風我と、刹那か」
強大な風の力を持つ玖能五指の一人、風我と、優れた武術と念動力を持つ
玖能五指の一人、刹那。
この二人が来ることは予想していた。
この二人と俺とあと二人を含めて玖能の五指といわれているが、
残りの二人はちょっと奇人で、外で仕事を持っていて玖能の屋敷にいない。
そのため実行部隊最強の座は俺とこの二人の三人が受け持っているのだ。
この二人はいま空いているはずだし、来ることは予想していた。
とはいえ嬉しくはない。
刹那は別にいいのだが、風我が。
「全くいいご身分だな。時波の総大将が残っているというのに、のんきに
居眠りとは」
「寝るなと言うのか」
「気構えという物があるだろう。家に侵入されて、のんきに眠りこけている
貴様の神経が理解できんと言っているのだ」
「おまえらに殺意があればすぐに気付いたよ。試して見るか」
「………」
一触即発。
「風我、やめなさい」
「は、紫焔様」
風我はひざまづく。
「では、お兄さま、すぐに来てくださいね」
「ああ」
紫焔は刹那を伴って寝室から出ていく。
風我はでるとき、こちらを見て、
「ケッ」
と言った。
玖能風我、先代当主の息子であり、紫焔の異母兄だ。
ということは俺の異母兄でもある。
長兄であり、次期当主と目されていた玖能烈刃が若くして死んでしまったとき、
小さな後継者争いが起こった。
残る先代当主の子は三人。
風皇子の血を引く次男風我。炎帝の血を引く長女紫焔。人間の女との間に生まれた三男日沖。

それを選定するのは長老会である。
真っ先に脱落したのは俺。戦闘能力は高くても、力そのものは貧弱すぎて話にならない。
しかし風我と紫焔はどちらが相応しいか最後まで喧々諤々やりあっていた。

好戦的で頼もしい人格、力も申し分がない風我と、人格的には頼りないが玖能千年最強の力
を持つ紫焔。しかし、様々な血族の血を取り込んでより強化されてきた玖能の血統。
その当主の座は強い者こそが相応しい。
そう言う事で、最後には紫焔に決定した。

それまで風我はねちねちと嫌がらせを紫焔にしていた。
にもかかわらず紫焔が当主になるとその夫になるために色目を使い、長老会に働きかけている。
嫌な奴なのだがこういう強欲で保身のために何でもする性格というのは無欲な奴より頼もしく
映るらしく、長老会の受けは結構高いのだ。何より力が強い。
俺は当主になることは興味がなかったし、紫焔の夫になりたいとは思わない。
しかし、紫焔は大切な妹である。その夫は信頼できる人物であって欲しいと思う。
玖能の家のためとか血のためとか、そういう結婚をして欲しいとは思わない。
「遅いぞ、日沖。全くたるんだ奴だ」
「……」
「やめなさい。風我。さ、お兄さま、こちらへ」
紫焔が自分の隣を促す。
零未、刹那もいる。これで全員か。
「とりあえず話をしようか……時波の四兄弟と思われる、者たちと交戦し、
既に三人を倒した。あと一人は時波の当主と目される。その能力、所在は
一切不明。このままでてくるか、それとも姿を消してしまうか、それもわからない」
「ならばこんなところでぐずぐずしている暇があるのか。なぜ探さない」
「時波は千年にわたる玖能の追跡を逃れてきた奴らだ。はっきり言って隠れる
ことにかけては向こうの方が上手だ。……時波を倒せたのは、出てきてくれた
からに他ならない」
「日沖、時波がなぜここに現れたのか、その目的ははっきりしたのですか」
「ある程度は。…この町を玖能を迎え撃つ拠点として作り替えたかったのではないかと、
予想している」
「しかしこの町を捨てても、時波にとっては何の痛痒も無いわけですね」
「それはそうだろう。時波が頭がよければ、逃げるはずだ」
「なんだとっ貴様、この俺を引っ張り出しておいて、敵が逃げましたですむと思っているのか!」
「だが俺は、敵はでてくると思っている」
「なぜ。戦略的には撤退するのが正しいはずです」
「時波の四兄弟はかなりの年…そろそろ寿命だ。最後は戦って死にたいだろう。戦士ならば解るはずだ。
かといって、何のめどもなく玖能の屋敷に特攻をかけるだけではそれこそ犬死。それが、この町の
要塞化計画だろう。……つまり、その四人は特攻要員。よって戦いにでてくるはずだ。
玖能を打倒するためには不十分な作戦でも採らざるを得なかったのだから」
「では、これから時波は我々に襲いかかってくる。そう言うことですか」
「そう思う。それに対処できるように行動するべきだ」
「なんだ。それだけか」
「……。言っておくが時波は強いぞ。その当主となるとその強さは計り知れない」
「貴様が倒したのだろう。三人も。そんな雑魚どもの頭だ。たかがしれている」
「舐めるのはやめろ。貴様でも戦力なんだ。勝手に死ぬな」
「なんだと。この出来損ないが、誰にそんな口を利いている」
「やるのか? 俺と。この距離で」
「………」
俺は風我をにらんだ。
離れて戦えば、この風我は悔しいことに圧倒的に強い。だがこの距離。
一歩で俺の手が届く距離では、万に一つも負けることなどあり得ない。
「……ちっ」
「二手に分かれて行動するといいだろう。時波の三人目は、俺と輪音が
二人でいるところに堂々と襲いかかってきた。正直、俺一人だったら間違いなく
死んでいた。二人でも危なかった。それだけの実力者だ。
二人までなら襲いかかってくる。
つまり、俺と零未が今まで通り学校に通っていれば、いずれ狙いを付けて
おそってくるだろう。
そこで、残りの三人が駆けつけ、五人……やられていれば三人だが、
て、倒す。これでいいと思うが」
「ふん。おとりになる気か。まあいいだろう。せいぜい目立て」
「待ってお兄さま。おとりなら、もっと目立った方がいいのでは?」
「え…?」
……


「玖能紫焔です。よろしくお願いしますっ」
うおおおお………
突然の絶世の美少女の転入にクラス中がどよめいた。
「そこがあいているな。じゃあそこに」
紫焔は、突然転校していった竹川……死んだ時波春日の席についた。
「お、俺、生田正三。解らないことは何でも聞いてくれよ!」
「……」
紫焔はにこにこと愛想笑いをしている。
思いっきり本名だし。これじゃ時波以外にもあれこれ寄せ付けすぎる。
「あなたは、なんていうの?」
紫焔が話しかけてきた。
「桐谷、日沖」
「日沖君、学校のこととか、いろいろ教えてくれます?」
「あ、ああ。いいよ」
短期間とはいえ通う学舎だ。いざというときは戦場になる。知っていて損はない。
何か周囲の目が殺気を帯びているのだが、まあ気のせいだろう。
「日沖君、一目惚れって信じます?」
「え、何の話?」
「私、あなたに一目惚れしちゃったみたい何です!お付き合いしてください!」
ぶうう…
思わず吹き出す。何を言い出すんだこの娘はっ
「な、何を言うか! 何のつもりだ!」
しかもクラスの真ん真ん中で。
あまりのことにクラス中が固まっている
「だめだって言われたら……もう一緒にいられない……」
そ、それはまずい。何らかの理由を付けて一緒にいなければならないのに。
「お、俺でよければ」
「うあああ…」
「おおお………」
「ぐあ、殺す、殺させてくれ!」
「あ、ほ、穂積! 日沖の馬鹿!」
その日学級は阿鼻叫喚の地獄絵図になった。
……
「何のつもりだおまえは」
すっかり担任に絞られてしまった。
「ごめんなさい…でも、これ以外思いつかなくて…」
「ああ、まあいいさ。じゃあ恋人同士と言うことで」
「あ………は、はい……!」
「あの……紫焔様」
「零未、様じゃないだろう」
「紫焔ちゃん」
「むう。外してくださらない? 私たちこれからデートですの」
「で、で……」
「何を言っている。そう言うわけにもいかんだろう。来い、零未」
そして三人で出かける。
設定としては双子の妹と恋人と一緒である。……奇妙だ。
実際は同僚と妹とであるが。やっぱり妙だ。
町をふらふらする。紫焔は子供のようにはしゃいでいる。
思えば紫焔は生まれてこの方あの屋敷の中で常人とはかけ離れた暮らし
ばかりしてきたのだ。一般常識の学習として見たテレビ以外、このような
体験は知らない。よし、これからしばらくは兄として紫焔を楽しませてやるか。
……いや、設定上は恋人としてだった。
街頭ショッピングやゲームセンターなどをふらふらし、
人通りの少ない道を歩く。
やがて日が落ちてきた。来るならそろそろか?
俺は二人を連れて、人気のない公園に来た。
ベンチに座る。
「日沖、今日は楽しかったです…」
紫焔が頭を寄せてくる。
「ああ、それはよかった」
「………」
紫焔が潤んだ瞳でじっとこっちを見てくる。
「どうした。何かあったか?」
「あの……恋人同士では、こういうときは、普通……」
「………ああ……いや、俺らは普通じゃないだろう。
そこまですることはない」
「で、でも…」
ざ……
公園の入り口あたりに男が数人いたのは知っていたが、そいつらがこっちに来る。
四人。来たか?
「よう兄ちゃん……3Pかい?ずいぶんうらやましいじゃねえか…」
「俺たちにも分けてくれよ。幸せの独り占めはいけないぜえ?」
人間だ。目立ちすぎたらしい。
「……零未、片づけなさい。目障りです」
「はい」
「いや、俺がやる」
す……
立ち上がる。
「お、兄ちゃん、やるってのか?」
「いや、まあ穏便に頼むよ。別にあんたらに迷惑かけてないだろう」
ぶちのめすのは難しい。こちらとらどう殺すかしか習っていないのだ。
死の予知に従って手を動かすしか。殺さないためには死の予知に逆らって
手を動かす必要がある。……やっかいだ。
「め、迷惑なんだよ!てめえええ……!」
うお、もう激昂したのか。はやすぎる。
男が拳を振り下ろしてきた。遅い。
………
ばきっ
当たってしまった。
あまりの遅さ、当たったところで全く実害がないことから、見送ってしまった。
微妙に痛かった。
「ま、まて。君らはまだ若いんだから……」
何か説得は逆効果な気がする。はあ、一人も死なさずに倒せるかなあ……。

す……
「お下がりください」
「し、紫焔…」
紫焔が前にでていた。
「下がれ下郎!」
紫焔が紫色のオーラを吹き出す。
マジで怒っている。
「紫焔、殺すな」
「なに? なに? この子お金持ちなの?」
「うおーん、じゃあはめどりビデオとか送ったり何かして俺たちリッチ?」
こいつら馬鹿だ。
どうして人間はこう生き残る本能という者が欠落しているのだろうか。
「……」
しゅ……
紫焔の手から4本の筋が飛び出す。
それは上から下に、4人に向けて降り……
どっどっどっど
4人を殴り飛ばし、避けさせる。
しゅうう……紫焔の筋が消える。
「お兄さま……」
「やめなさい。よくないことだぞ」
吹っ飛んだ四人を見ると、顔面が陥没し、首の骨が折れ、なかなかすごい有様だった。
まあ死の影はだいぶ遠い。救急車でも呼んでやれば死ぬことも無かろう。
「さて、いこうか」
「ば……ばけ……も…の…」
「よくわかったな」
俺たちはとりあえず今日は来ないと踏んで、家に帰った。
……


「く、来ないではないか! もういい、俺たちは俺たちで探す!」
「別に良いが、先に狩られるなよ」
「誰に言っている!」
「あんたにだよ。風我」
「日沖…!」
「日沖、私がついています」
「とにかく、出会ったら俺たちを呼べ。一人やられたら逃げろ。
いいな」
「やかましいっ貴様ごときに手柄を横取りされてたまるか!」
まったく……。
……


「くそう……なあ刹那、あいつを殺してくれよ」
「あいつとは?」
「決まっているだろうがっ日沖だよ……全く目障りな奴…」
「私には不可能です」
「くそ……とにかく、時波の頭をとっとと倒すぞ……
このままじゃ日沖は長老会の評価も鰻登りだ。俺が、俺が…」
「おまえ達が玖能の者か」
「!!」
「なるほど……二流だな。貴様らは」
「なんだとおお!」
「風我、私が奴を押さえます。その隙に紫焔様に連絡を」
「ああ、うるせえ!死ねや!」
ごう……巻きあがる突風が、前方の男を襲う。
男の姿は消えた。
「なに…?」
「風我、危ない!」
だん………
刹那は男に飛びかかる。両手には小刀。
水際だった暗殺技で襲いかかる。
「ほう」
男は手甲でそれを受ける。
接近した際、刹那の力と男の力がぶつかり合う。
ずばん………
「風我……逃げて……」
刹那は血を吹いた。
「ぬ……あああ……!」
風我が力を使う。風を巻き起こす強大な力。まともに受ければ、いかなる物も
崩壊させる。
しかし……男の放った念動波はその力と拮抗していた。
「はああああ……!」
どーん…!
風我は吹っ飛ばされて後ろの壁に激突する。
「く…うう…」
呻いて転がる風我。その頭を踏む者がいた。
「いやだ…こんなところで………」
ずぎゃ……
……


見つけたのは俺たちだった。
「ち、なぜ連絡しなかったんだ、二人もいて、馬鹿が」
胴体をまるまる失い、手足と頭のみを残した風我、
右腕を失い、心臓に自らの二本の小刀を刺され絶命している刹那を見て
そうつぶやく。
人格に問題があったとはいえ、能力的には玖能の頂点を張る奴らだ。
それをこうも易々と殺すとは、さすがは時波。
「しかし一体どういう能力だ」
強力な衝撃波、念動波のような物を放つ能力があるようだ。
そして、刹那の死に様を見るに、体術でも刹那を遙かに凌駕するものがあるらしい。
「とにかく、これで奴が俺たちを狙っていることははっきりした。次は俺たちの
所に来るだろう。……援軍などは呼ぶだけ無駄だ。死人を増やすだけだからな。
「……風我はいいけど、刹那はかわいそうだったわね」
「そうだな……いや、だめだろ、紫焔」
「でも風我が死んでくれてよかった。だって私は……」
「……あのなあ」
それからも、昼は学校、放課後はデート、夜は公園や路地裏という生活を続ける。
そして二日後。
「………やっと来た、か」
一人の男が立っている。
「玖能日沖、玖能紫焔、久能零未。間違いないな」
「………貴様の名は」
「時波火群」
す……
男の手には、針の付いた手甲がはめられていた。
俺は獅子咬の袋を解き、柄を握る。
言葉はいらない。ただ殺し合うのみ。
俺は一気につっこんだ。
奴も動く。その動きは一瞬後に俺を絶命させる動きだった。
かわす。まさしく暴風のようなその動きは、初めて出会った時波の
巨人を彷彿とさせる。
かわしざま斬りつけるが、奴はそれをも水際立った動きでかわす。
その動きは時波春日を彷彿とさせた。
奴の高速に繰り出される剛腕を次々とかわす。
その瞬間、奴の目が光る。
俺が飛び退くと、俺が元いた場所は1m以上も深く穿たれていた。
だが隙ができた。
奴がかわすより一瞬早く、俺の獅子咬は奴の肩を数センチ切り裂いていた。
しかし。
しゅううううぅうう
切った後がこぽこぽと泡立ち、ゆっくりと修復している。
しばらく見守っていると、わずかな跡を残してすっかり直ってしまった。
あの妖怪女を思わせる再生能力。
「これは強い。おまえ一人に我が弟妹が皆殺されたのもうなずける」
男はそう言った。
「三人の能力を、すべて併せ持っているというのか……」
強い。……それは間違いない。時波を名乗るにふさわしい強力な
能力である。しかし、俺は軽い失望感を持っていた。
言うなれば、その程度か?というものだ。
確かにこれほどの能力を一人の人外が併せ持っているというのは
希有なことだ。
しかし、力は地雷に及ばず、速さは春日に及ばず、生命力は聡子に及ばない。
時波の総大将としてはあまりに中途半端な能力だ。
確かに、最初に出合った時波がこいつであったならば驚愕しただろう。
しかし一つの道を究めた怪物三匹と戦ってきた今となっては、はっきり言って
食い足りない。
「どうやら……本気を出さなければいけないようだな」
本気…?
奴は何かをしようとしている。
しかし、それは俺にとって致命的な行動ではない。それは死の予知でわかる…。
さて……

様子見 →12へ

全力回避 → 13へ