5.

動いた。
今まで鍛え上げた通りに、電撃的な早さでナイフを繰り出す。
奴の腕が俺に到達するより早く、全身の力を込めて突き出されたナイフは
奴の心臓に突き立った。
生まれ持った死の予知より、その後の人生で磨き上げた殺しの技に全てを
かけて―ー。

しかし、俺の全身の力は奴の体に一ミリも吸収されることなく、
すべてが反作用として跳ね返り、俺の体を硬直させた。
そしてそれはあまりにもばかばかしいほど、絶望的な隙であった。
……


ブシュ……
せめて喜ぶべきは
俺の頭を圧壊する奴の手はあまりに早く、俺が何も感じる暇も無かった
ことだろうか。


BAD END